エタノールとアルコール類の重要な反応


1.異性体 ←分子式が同じ 

 分子式が同じ=材料が同じで組み合わせが違う。

 ・アルコール R-OH 水酸基(中性)

 『R-』というのはその他大勢をまとめて表している。とにかく水酸基があればよい。アルコールは共有結合をしているので中性。アルコールのメンバーはアルカンをベースにしている。

CH3OH  メタノール(メチルアルコール)
メチル基 → CH3-

C2H5OH  エタノール(エチルアルコール)
C3H7OH  プロパノール
C4H9OH  ブタノール
C5H11OH  ペンタノール
C6H13OH  ヘキサノール

 メタノールならメタン(CH4)のHを1つ取って水酸基に持っていく。
 CH3OH、水酸基のことを『オール』と言う。メタンから引っ張ったオールすなわち、メタノールという寸法である。
 『CH3-』をメチル基といい、メタノールはメチル基の付いたアルコールと言うことで正式名称をメチルアルコールという。
 メチル基を2種類のタイプで上記では記してあるが、別にどちらで記してもかまわない。『駿台式』と記されている方式で書かなければならない試験は全国では1つしかない。それは駿河台予備校の公開模試である。イチイチ駿台式で構造を記すのは面倒だが、性質や反応プロセスの分からないときに駿台式の記述方法で確認すると比較的理解し易くなる。
 アルコールはguidanceとしては、異性体である。
 
 ex)分子式 C2H6O
 CH3-CH2-OH  エタノール(bp 78℃)
 
 エタノールの組み合わせを変えるとジメチルエーテルになる。
 
 CH3−O−CH3  ジメチルエーテル(bp -25℃)
 
 R−O−R' → エーテル結合
 ※ R、R'は水素との事。アルコールにはまだ2つ異性体がある。
 
 ex)分子式 C3H8O
 C3H3-C2H2-C1H2-OH  1-プロパノール

 上記のプロパノールの異性体は水酸基が1番目の炭素に付いたプロパノールなので1-プロパノールという。同様に水酸基が2番目の炭素に付いたプロパノールの異性体は2-プロパノールという。

 プロパノールだけでも2つ異性体がある。区別するときには後ろから数えた方が楽である。
 炭素に番号を付ける。2番目の炭素から生えているので2-プロパノール。
 炭素に番号を振るときはなるべく数が小さくなるように国際的に決められている。
 だから、1-プロパノールは左から数えると3番目の炭素から水酸基が生えている。数が小さくなるように番号を振るようになっているのでこの場合には右から数えるようにする。だから、1-プロパノール。
 アルコール、エーテルは互いに異性体である。

CH3-O-CH2-CH3
エチルメチルエーテル

 CH3-O-CH2-CH3はメチル基(-CH3)とエチル基(-CH2-CH3)の付いたエーテルである。この場合、名前はアルファベットの頭文字順でmethylとethylではethylの方が早いのでエチルメチルエーテルとなる。従って、エチルメチルエーテルも異性体である。従って、異性体はC3H8O
では3種類である。

 鉄則
 
 ・ 異性体と言ったら分子式が同じと考える。
 ・ 分子式が違ったらアカの他人

2.アルコール VS エーテル

 アルコールはウィスキーに代表されるように水に溶ける。だから、水割りができるというわけだ。水に溶けなければ水割りにしても最初はストレートのウィスキーで最後の方はただの水となってしまう。
 アルコールは水と比べると沸点が低いが、それは水が特別高いだけである。アルコールはエーテルなどと比べると沸点が高い。エタノールとジメチルエーテルは分子式が同じなのに沸点が100℃近く違う。

 アルコールとエーテルの違い
 アルコールというのは水酸基があり、電気陰性度が大きい。だから、極性が大きいので水素結合を作る。だから、沸点が高いのは水分子と水素結合をして水に溶けやすいからだ。アルコールかエーテルかを見抜く時には上図のを見るとよい。この2つの違いを見抜く時にはTecnical Wordであるを見る。互いに異性体なので性質を把握する。

3.The エタノール

・ エタノール VS 濃硫酸 → 脱水☆☆

 有機化学の世界で濃硫酸というと脱水作用。つまり、エタノールから水を取ると温度により異なるがジエチルエーテルとなる。
 
 (1) 130℃〜140℃

 130℃〜140℃の温度はまだ低い。つまり濃硫酸の脱水力はイマイチなのでエタノール2分子から水がやっと1分子とれる。水を取ってみるとエチル基が2個ついてエーテル結合をしているのでジエチルエーテルとなる。

 (2) 160℃〜180℃
   

今度は温度が高いので脱水力が強い。だから、アルコール1分子から水が1分子とれる。駿台式に書くと下記のようになる。
 
 この3つのHはちょうど正三角形を示している(∵正四面体の頂点3つを結ぶと正三角形になる)。だから、※の軸を回すと左右が入れ替わる。
 エタノール1分子から1分子の水を取るとエチレンになる。アルコールの脱水反応は次のように進行していく。
 アルコール分子が水素イオンに配位することから反応が開始され、水分子が脱離して(=水分子は脱離しやすい)カルボニウムイオン(=炭化水素の陽イオン)が生成する。

 (反応式)
 
 

 ・アルコラートの生成

 一般名:アルコラートは『ナトリウムエチラート』と物質では言う。
 
 2C2H5OH + 2Na → 2C2H5ONa +H2
 
 作るときの注意 → 水の混入をしない

 アルコラートは水に溶けやすいので水に入れたら分解してエタノールに戻る。

 C2H5ONa + H2O → C2H5OH + NaOH
 エタノールは中性、水酸化ナトリウムはアルカリ性なので仲が悪く塩を作らない。

 鉄則
 
 ・ 濃硫酸の脱水において130〜140℃では温度が低いと認識する!
 ・ 中性とアルカリでは塩を作らない。
   

 

 − コラム −  


 ジエチルエーテルは昔、吸入性麻酔として外科手術によく用いられていた。このジエチルエーテルは迷走神経を刺激する。そのため唾液の分泌を促進するので、手術中ずっとバキュームで吸引し続けなければならない。吸引を怠ると唾液が気管に詰まって患者が窒息死しかねないからだ。
 その他に引火性が強いのでジエチルエーテルを使った麻酔をするとレーザーメスが使えない。もし、レーザーメスを使うと血液中に含まれたジエチルエーテルに引火して手術室が火の海になってしまう。このような理由で吸入性麻酔としてジエチルエーテルを使わなくなった。

4.アルコールの酸化

 酸化するとは電子を奪う事
 還元するとは電子を与えること

Oを1個与える
酸化

Hを2個奪う

この2つの事柄は、必修科目レベルである。

(1) 第1アルコール (→ Hが2個以上


 アルコールの酸化と言うときには水素を2つ取る。だから、-2Hと出来る。
 第1アルコールとは水酸基の付いている炭素に水素が2個以上付いている。上記の式について説明を施すと、アルデヒドが還元性があると言う事はまだ、酸化されると言うこと。アルデヒド基は酸素(O)を1個付け加えられてカルボン酸になる。アルデヒド基は『-CHO』、カルボン酸は『-COOH』で書き表す。



 鉄則
 酸化に置いて第1アルコールはアルデヒドを経てカルボン酸になる。

(2)第2アルコール


 鉄則
 酸化において第2アルコールはケトンを生じる。

(3)第3アルコール


 酸化が起こるためには、水酸基(-OH)が結合している炭素原子に直接結合している水素が必要である。第3アルコールは水酸基が結合している炭素原子に直接結合している水素がないので酸化されにくい。

 鉄則
 酸化において第3アルコールは酸化されにくい。

5.重要な反応

 (1) フェーリング反応(→ -CHO基

 フェーリング反応を行うならば、アルデヒド基があると言う事。フェーリング溶液は基本的に銅イオンなので青色をしている。小学校の理科の実験でブドウ糖の検出にフェーリング溶液を使うことがある。

 Cu2+ + e- → (Cu+)→ Cu2O↓(赤色)☆☆☆ 酸化銅(I)

 アルデヒド基には還元性があり、一つの電子を持ってくるのでCu+の形になる。(Cu+は普通見えない)
 Cu+は不安定なのでCu2O(酸化銅(I))の形で沈殿してしまう。Cu2Oは本来、赤褐色(沈殿)なのだが、フェーリング溶液の中では赤色を呈する。溶液の色が青から赤になったならばフェーリング反応。参考までにフェーリング反応の近似式を書きに示す。
 (近似式)
 2Cu2+ + HCHO + H2O +H2O + NaOH → HCOONa + Cu2O + 4H+  

 

 (2)銀鏡反応(→ -CHO基の検出

 アンモニア性硝酸銀水溶液をアルデヒド基を持つ試薬に加え加熱すると試験管の内壁に銀鏡を生ずる。

 Ag+(アンモニア性硝酸銀) + e- → Ag(銀鏡)
 
 このようにして、アルデヒド基の検出が出来る。アンモニア性硝酸銀のアンモニアは銀イオンを安定し、錯イオンにしているのでAg+(銀イオン)と認識する。参考までに銀鏡反応の近似式を下記に示す。
 (近似式)  
 2Ag+ + HCHO + H2O → 2Ag + HCOOH + 2H+

 アンモニア性硝酸銀溶液はジアンミン銀(I)イオンとも言う。化学式は[Ag(NH3)2]+

 (cf)
 塩化銀は光を当てると黒くなる。

 2AgCl → 2Ag + Cl2

 つまり、銀の原子が出来ると表面は黒っぽく見える。銀の原子がでると表面はデコボコになるために光が吸収されて黒っぽくなる。
 銀鏡の場合だと、試験管の内壁に銀の原子がへばりついて表面がなめらかになるために光が反射されて銀色になる。

 (3)ヨードホルム反応
 NaOH(or Na2CO3)とI2を加えて温める。
 → CHI3(ヨードホルム)
 黄色結晶、特異臭


 エチルアルコール、アセトアルデヒド、アセトンなどにヨウ素とアルカリなどを作用させてヨードホルムを生成させる反応をヨードホルム反応と言う。
 ヨードホルム反応を行うのは
 

   

 
 上記の枠の中の赤枠で囲った基を持つ化合物である。
 

   

 
 R;CまたはH☆☆
 この反応は次のように進行する。

 2NaOH + I2 → NaOI + NaI + H2O

 エタノールの時  

 CH3CH2OH + NaOI → CH3CHO + NaI + H2O
 CH3CHO + 3NaOI → CI3CHO + 3NaOH
 CI3CHO + NaOH → CHI3 + HCOONa

 アセトアルデヒドの時  

 CH3CHO + NaOI → CI3CHO + 3NaOH
 CI3CHO + NaOH → CHI3 + HCOONa

 アセトンの時  

 CH3COCH3 + 3NaOI → CI3COCH3 + NaOH
 CI3COCH3 + 3NaOH → CHI3 + CH3COONa

 <参考>ヨードホルムの近似式
 C2H5OH + 4I2 + 6KOH → CHI3↓ + 5KI + HCOOK + 5H2O
 
 

   

 
 

6.The ブタノール

 C2H5OH (1)
 C3H7OH (2)
 C4H9OH (4) 

 プロパノール(C3H7OH)にはヒドロキシル基が結合する位置によって1-プロパノール(CH3CH2CH2OH)、2-プロパノール(CH3CH(OH)CH3)の2種類の異性体がある。
 

 
 また、ブタノール(C4H9OH)には次のような4種の構造異性体が存在する。
 
 CH3CH2CH2CH2−OH
 1−ブタノール(第1アルコール)


 
 ☆ 濃硫酸を用いて脱水(→ C4H8


 
 A → CH3−CH2−CH=CH2  1−ブテン


 ブテン(C4H8)には1-ブテン、2-ブテン、2-メチルプロペンなどの構造異性体があり、更に2−ブテンでは分子式は同じであるが融点、沸点の異なる2種類の物質が存在する。
 このようにして2重結合を作っている各炭素原子にそれぞれ異なる原子または原子団が結合して生じる異性体をシス・トランス異性体(幾何異性体)という。

 

2−ブタノールは唯一


(1)光学異性体が存在
(2)ヨードホルムによる反応が陽性
(3)脱水により複数(3種類)のアルケンを生成する。

7.エステル

 カルボン酸とアルコールが縮合すると『−COO−』結合(=エステル結合)を持つ化合物が生成する。この化合物をエステルという。例えば、酢酸(CH3COOH)とエタノール(C2H5OH)の混合物に濃硫酸を少量加えて加熱すると酢酸エチル(CH3COOC2H5)と水を生成する。

 


   

 このようにエステルを生成する反応をエステル化と呼ぶ。この反応では硫酸のような強酸が触媒となる。
 エステルは一般に芳香があるので香料に用いられたり、有機化合物をよく溶かすので溶媒などに用いられる。

 ☆ 芳香 → エステル ☆☆☆
 
 ◎ 酢酸エチル
 CH3COOC2H5
 C2H5OCOCH3
 
 ◎ エステルの加水分解
 エステル化は可逆反応である。そのため、水と酸、またはアルカリを加えて煮沸すると加水分解される。

 (反応式)
 CH3COOC2H5 + H2O → CH3COOH + C2H5OH

 また、酢酸エチルに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると、酢酸ナトリウムとエタノールが生じる。

 (反応式)
 CH3COOC2H5 + NaOH → CH3COONa + C2H5OH

このようにカルボン酸のエステルと塩基の反応によってカルボン酸の塩とアルコールが生じる反応をけん化という。

 鉄則
 
 問題文で『芳香がする』とあれば、エステルを疑え!
 
 

 − コラム −  


 酒の主成分であるエタノールは大量に飲むと二日酔いになる。体内でエタノールは酸化されて最終的には酢酸になるのだが、その前段階ではアセトアルデヒド(CH3CHO)になる。アセトアルデヒドは毒性があるので、頭痛や吐き気などの中毒症状を示す。そして、酢酸にまで酸化されれば二日酔いは治る。
 そこで、二日酔いを早く治すためには出来るだけ早く酢酸にまで酸化されればよい。だから、二日酔いになった酸化触媒の過マンガン酸カリウム(KMnO4)を点滴すればよいではないか!と安易に安易に考えがちだが、過マンガン酸カリのようなモノを点滴したらショック死してしまう。
 結局、二日酔いにならないためには深酒にならないように酒量を控えることである。そして、二日酔いになったらアルコールが速やかに体内で酸化されるように肝臓の働きを補助するような食事と十分な水分を取り、ひたすら症状が緩和されるのを待つこと以外にはない。


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