熱化学方程式と平衡と触媒


1.熱化学方程式
 

 『C(黒)』とは黒鉛のことである。理由として、炭素は通常黒鉛の状態にあるから。熱化学方程式では分数を使う事が許されている。もちろん反応式では分数をそのまま使ってはならない。
 左辺のエネルギーと右辺のエネルギーは等しいので『=』でつなぐ方程式である。熱化学方程式は代数方程式のように足したり、引いたりできる。だから、2つの方程式を引き算して3つ目の方程式ができる。
 「それぞれの熱量に名前が付けられますか?」と、いう事をスムーズに行う事ができればそれほど熱化学方程式で困る事はない。
 394kJは炭素が燃えている。つまり、炭素の燃焼熱である。これは珍しく2通りの名前がとれる。二酸化炭素が生じているから、二酸化炭素の生成熱と呼べる。もちろんこれにはウラがあるのだが、素直に把握する。
 111kJは一酸化炭素の生成熱である。
 283kJは一酸化炭素の燃焼熱である。
 ここで登場する熱量を反応熱という。

 ・反応熱 → 中和熱、溶解熱、・・・
 (+) 発熱  (−) 吸熱
 

燃焼熱 → CO2の完全燃焼
生成熱 → 単体から   
☆☆

 反応熱が+なら発熱反応、ーなら吸熱反応という。+という事は熱を出しているから発熱、−ということは熱を吸い取っているから吸熱である。上記の熱化学方程式の反応熱は3つとも+なので、3つとも発熱反応である。
 反応熱とは、反応したときの熱の事をいうが、反応には様々なものがある。例えば、酸とアルカリを加えると熱が出る。これを中和熱という。あるいは、モノが溶けると熱が出る。例えば水酸化ナトリウムを水に溶かすと熱が出る。これを溶解熱という。その他に蒸発したら気化熱、燃やしたら燃焼熱、モノができたら生成熱、色々な熱量の総称である。反応熱の全seriesを学んでも最初は満足するだろうが、そんなのは常識で分かる程度ものである。例えば、『酸とアルカリで中和したら熱が出た、と言ったら中和熱』、というように当たり前なのでpassしてよい。つまり、普通に考えるとmissしやすいうるさい定義の熱量は2つだけである。それが、生成熱と燃焼熱である。
 燃焼熱は『燃焼』と言う語から『燃やせばよいのではないか?』と思いがちだが、そうではない!例えば、上記の熱化学方程式の2行目の式を見ると確かに炭素が燃えているが、燃焼熱ではない。不完全燃焼の場合は燃焼熱とは言わない。完全に燃やさないと燃焼熱ではないのだ。この式の場合は、二酸化炭素(CO2)が生成しないと燃焼熱の定義にあてはまらない。
 生成熱の『生成』とは出来上がると言う意味だが、モノが出来上がれば良いと言うわけではない。原料が決まっている.☆☆の中を見ると『単体』からと書いてある。例えば、上記の熱化学方程式の3行目の式を見ると二酸化炭素ができている。ついつい『二酸化炭素の生成熱!』と考えてしまうのはダメ!。原料にCOがある。COは化合物である。つまり、化合物が原料にある場合、生成熱とは言わない。炭素C(単体)と酸素の単体O2から二酸化炭素ができているから燃焼熱の定義にあてはまる。

熱化学方程式において熱量は係数1の物質1molあたりに溶ける
☆☆☆
 上記の事柄は事柄は読んですぐに理解できるモノではない。つまり、具体的に色々な問題を扱いながら立ち戻って上記の事柄を読み返すことを繰り返しながら理解していくものである。
ex)
生成熱はCO2=394、H2O=286、C3H8=106(mol/kJ)である。C3H8の燃焼熱を求めよ。
<解答>
 『/mol』と示しておくと1molあたりの熱量を指定している。1molと10molでは熱量は10倍も違ってしまうから1molあたりという事を示しておく必要がある。しかし、方程式ではそのようなことはまず書いていない。方程式でそのように書いていまったら間違いである。つまり、方程式の中には『1mol』ということがはじめからsetされている。だから、方程式で『/mol』と表記してしまったら間違いなのである。
そろそろ問題を解く!ここでも、2通りの解き方をする。まずは教科書的な泥臭い解き方で問題を解き、つぎにspeedyな解き方で解く。

 まず、求めるものを見てみよう!
 →プロパンの燃焼熱だから


 C3H8 + 5O2 → 3CO2 + 4H2O + Q kJ

 炭素3つが完全燃焼して二酸化炭素3つ、水素8つは水4つになる。酸素の数を勘定すると5O2 になる。酸素の数を後回しにすれば、誰にでも上記の式は書けるはず。このときの熱量をQとして求める。・・・ただし、Qを求めるのだが、与えられているデータを方程式にする。

 C(黒)+O2 = CO2+394kJ ・・・(1)
 H2 + 1/202 = H2O + 286kJ ・・・ (2)
 3C(黒) + 4H2 = C3H8 + 106kJ ・・・ (3)

 (2)の式を『2H2 + 02』と書く人もいるだろうが、そうすると生成熱は572kJとなり、2H2Oが出てきてしまう。そうすると上記の☆☆☆に反してしまうので熱化学方程式とはいわない。
 プロパンの生成熱の方程式は上記の(3)の式のように炭素の単体と水素の単体で書く。(1)、(2)、(3)を組み合わせてプロパンの燃焼式を作れば良い。
 (1)×3+(2)×4−(3)

 C3H8 +502 = 3CO2 + 4H2O + 2220 kJ

 このようにして燃焼熱を求めるのだが、方程式の組み合わせを見つけるのに手間がかかる。(1)の3倍とか(2)の4倍とか方程式を全部書く、消去したりして途中の式も全部書いても評価されるのは熱量の値だけ、というのはかなりホネが折れる。
 だから、下記の方法で考えてみる。

燃焼熱のみを用いる
左辺→(+) 右辺→(−)
☆☆☆☆

 この方法は、入試では一回は重宝する解法である。この解法だと先ほどの解法よりも10倍は早く解答にたどり着く事ができる。
 燃焼熱は本来、式として非常にジャマくさい。だから、燃焼熱のデータがたくさんあるとやや難しいのだが、燃焼熱だけで駒がそろうと一発で求まるという解法である。
 問題を見て『燃焼熱などではないか』という人もいるだろうが、これは『燃焼熱ではないか!』というセンスがここでは欲しい!
 二酸化炭素が生成しているという事は炭素が完全燃焼しているということである。同様に水が生成しているという事は水素が完全燃焼しているという事である。プロパンの生成熱は未知数Qとして求める。

燃焼熱


C → 394 、 H2 → 286 、C3H8 → Q
 このように十分に駒はそろっている。
 どうしても燃焼熱にならなかったのが、プロパンの生成熱である。つまり、(3)の式では燃えていないから材料にはならない。材料にならないのを1つだけのこしてそれを祭り上げる。この106を求める。求めるモノは何でも良い。材料が燃焼熱onlyならばよい、という法則である。

 3C(黒) + 4H2 = C3H8 + 106kJ
 394 × 3 + 286 × 4 − Q = +106kJ

 炭素の燃焼熱は394kJで係数は3だから3倍する。水素の燃焼熱は286kJで係数は4だから4倍する。上記の☆☆☆☆より、右辺は−、左辺は+であるから−Qをする。これは当たり前で考える!
 反応式の左辺の物質を燃やすと反応は式の右辺へと進む。反応式の右辺の物質を燃やすと熱は左辺にくる。だから移行して−countになり、上記の式のtotalが+106になる。
 熱化学方程式は定義が難しいのでそれを逆手に取る。つまり、実際に式を書いても定義が難しいから出来るモノが決まっている。ならば、燃焼熱でそろえてしまえば余計なものは消えてしまうので自ずと求めるモノが出るという事である。

 ∴ Q = 2220kJ

 普通反応熱というと正の時には+をつける。もちろん負のときは−をつける。しかし、+をつけなくてもいいときがある。それは、燃焼熱である。燃やしたら熱が出るのは当たり前なのでわざわざ、+をつける必要はないのだが、反応熱は正の時+をつけるのが礼儀なのである。

鉄則

 生成熱と燃焼熱を把握する


2.結合エネルギー
 これは理論化学の中で一番易しい箇所である。

バラバラ
 → エネルギーが高い

 実はこのイメージ一つで全て終わりなのである。液体よりも気体の方がエネルギーが高い。理由としては、分子間の距離が長い、つまり、液体よりも気体の方がバラバラな状態。分子よりも原子、といったようにバラせばバラすほどエネルギーが高い。このイメージを大切にする。このイメージだけでよいのだが、もう一つのmethodとしてエネルギー図を書く。熱化学方程式のみを用いて結合エネルギーを解くと+、−の位取りのミスが多くなる。図を書いて解くとエネルギーは長さであらわされるから、−は長さで表せないため+,−の位取りのミスは100%防ぐ事ができる。理論化学で最も簡単な分野なのでミスなく確実に解きたい。

ex)
 結合エネルギーはH2;436、Cl2;243(kJ/mol)であり、塩化水素の生成熱は92.5kJ/molである。
 塩化水素の結合エネルギーを求めよ。

 <解答>
 化学では熱量もエネルギーも全てkJ/molで表記する。
 HClの結合エネルギーを求める!
 エネルギー図は上に行けば行く程結合エネルギーが大きい。問題文で『結合エネルギーを求めよ』と書いているのでエネルギー図を書くというように臨戦体制になるようになるような感覚がここでは欲しい。もちろん、すぐにエネルギー図を書くのではなくそのための準備をしておく。
 HClの生成熱92.5kJ/molを熱化学方程式にしておく。

 H2 + Cl2 = 2HCl + 185 kJ

 この方程式ではHClが2モル出来ているので、生成熱も2モル分で来ていなければならない。下記にエネルギー図を書く。


 この図は、上に行く程エネルギーが高くなるという極めて単純な図である。矢印の差は熱化学方程式で書いたように185kJである。エネルギー図では発熱反応なら方程式の右辺が下で左辺が上になる。考えてみれば当たり前である。右辺に185加えれば左辺に追い付く。だから、右辺の方がエネルギーが低いのに決まっているので、この事が反射的に考えられる事が必須となってくる。
 エネルギーの一番下にいる人は古文で例えると地下人、一番上にいる人は天上人に例えられる。
 バラバラになるほどエネルギーが高いという事は完全に原子レベルまでバラバラにしたらエネルギーが一番大きいという事になる。
 実際の計算では赤い矢印オレンジの矢印を足すと青い矢印の長さに等しくなる。
 679kJについて・・・
 H2が436kJである。結合エネルギーについては誤解している人が多い。結合エネルギーとは結合している強さではなくて結合を切るために必要なエネルギーという事。つまり、436kJのエネルギーを加えると水素同士の結合が切れる。243kJのエネルギーを加えると塩素同士のエネルギーが切れる。だから、679kJのエネルギーを加えると両方一度に切れる。
 あとは計算するだけでよいので青い矢印は864kJ。HClの係数が2であるから2モルのHClの結合を切るためのエネルギーは864kJという事なので2で割れば1モルあたりの結合エネルギーが求まる。
 864 / 2 = 432 (kJ/mol)

3.反応速度

V1


H2 + I2 2HI(可逆反応)
V2

 一応、熱化学の範囲なのだが分野としては大きく変わる。
 この分野は反応のスピードに関する話である。上記の反応を可逆反応という。例えば、モノを燃やすともとには戻らないそのような反応を不可逆反応と言う。しかし、上記の反応は元に戻るので可逆反応と言う。

V1(正反応) = k1[H2][I2]
V2(正反応) = k2[HI]2
☆☆

 これは原料の濃度に比例する。上記の☆☆は定義で滑り止め程度の大学の入試で聞いてくるので覚えておく。

・k1、k2 → 反応速度定数(温度の増加関数)

 k1、k2は定数ではなく関数なのである。温度は一定ならば一定値なのだが温度によって値が変わる。それが温度の増加関数である。難しく考える事はない。温度が高くなると必ず値が高くなる程度のイメージでよい。どんな関数なのかを気にする必要はない。
 反応速度についてまとめてみる。

・反応速度をまとめる条件
(1)温度を高くする
(2)濃度を高くする

分子の衝突回数の増加
(3)触媒を加える

活性化エネルギーの低下
 

 反応速度と言うのは条件によって速くなったり遅くなったりする。上の条件は速くなる条件だが逆の事をやれば反応速度は遅くなる。
 式で確認すると温度を高くするとk1、k2が大きくなり反応速度は速くなる。実は当たり前の常識で確認する事ができる。分子がぶつからなければ反応しない、逆に考えると分子がたくさんぶつかると反応する速度はそれだけ速い。つまり温度が高いとそれだけ分子運動は盛んである。混雑しているとそれだけたくさんの分子がぶつかる。これは考えてみると当然の事である。『圧力をあげるとどうなる?』と思う人もいるだろうが、圧力をあげると体積が小さくなるから当然濃度が濃くなる。だから、反応速度が速くなると(2)から導ける。(3)については後程、触媒の箇所で説明を行う。

3−1.化学平衡

  

 例えば今回のように水素とヨウ素でヨウ化水素が生成する。反応速度をグラフにそって見ていくと横軸はtimeのtである。V1はtとともにだんだんと下がってくる。例えば水素とヨウ素を反応させると原料が減ってくる。だから、だんだんV1は遅くなってくる。
 V2について・・・

 ヨウ化水素は最初はなかったと仮定する。最初はヨウ化水素がないのだから抵抗できない。しかし、だんだんとヨウ化水素が出来上がってくると、逆反応がだんだんと起こってくる。一旦、青いラインのところで停止したならもう離れないで平衡と言う状態が成立する。定義はV1=V2である。もちろん注意しなければならないことは見かけ上静止していると言うことである。平衡状態になっていても中ではV1もV2も動いているのだが、反応のスピードが同じなので止まっているようになる。この状況を化学平衡と言う。

3−2.平衡定数

 K = [HI]2 / [H2][I2]  (= K1 /K2)

 左辺が分母、右辺が分子係数2に2乗になる。これはどこかで見たとこがある。電離定数の式である。ちなみに、酸・塩基についての平衡定数が電離定数なのだ。
 平衡であるのでV1とV2が等しい。だから、等号で結んでK1/K2の形になるように引っ張ってくればよい。
 K1とK2は温度の増加関数であると言う事はここまで読んだ事のある人なら全員が知っている。だが、実はKというのは温度の増加関数の場合と減少関数の場合とがある。

増加関数(吸熱)

減少関数(発熱)

K → 温度の 温度一定ならば一定値

☆☆

 K、Kどちらも増加と言っても増加の仕方があるので、その度合いによってK全体の増加の仕方が変わってくる。
後程『ル・シャトリエの法則』と言うものを学ぶのでそれが分かると確認できるのだが、吸熱反応では増加関数つまり、温度が高いとKの値自体が大きくなる。逆に発熱反応だとKは減少関数である。
 実戦でよく使われるのは平衡定数Kである。
 関数と言うのは同じ値を入れたら同じ値が出てくるものである。温度の関数で温度が変わらなかったらすっと同じ値である。平衡では『温度一定』という条件を平衡定数が一定と捉える。これが、蒸気圧と並んで化学の中では一番高度な箇所である。

[HI]2 / [H2][I2]
K
(濃度)平衡定数

 濃度に()がついている。”何だ?”と思うかもしれないが、これは一般的だからである。普通に平衡定数と言うと、濃度で表す濃度平衡定数である。これを特に”Kc”と表す事もある。上記のような非常にpopularなモノがあれば、minorなモノもある。

 ・ 圧平衡定数(分圧を用いる)

 これは、しっかりと『圧』とつけなければならない。なぜなら、minorだから。

 KP = PHI / PH2 × PI2

 これは濃度ではなくてこれは分圧を用いる。minorなので、『圧平衡定数や!』というだけにPをつけておかなければならない。だから、圧平衡定数の場合には必ずKPと言う風にPがついている。
 作り方は反応式の左辺が分母、右辺が分子という風に作り方は全く同じ。ただし、材料に分圧を使う。性質は濃度平衡定数と全く同じである。
 温度のみの関数と書いたが、これは温度が変わらなければ変わらないと考えればよい。

 鉄則
 温度が変わらなければ平衡定数は変わらない。

4.ル・シャトリエの平衡移動の法則

 平衡というのは見かけ上とまっているのだが、条件を変える、例えば温度を高くすると少しずつ動いてしまう。つまり、右へ移動するか左へ移動するかをここでは考える。
 『ル』と頭につくのはフランス語で男性冠詞『ラ』は女性冠詞である。だから『ル・シャトリエ』と言うと、”フランス人のシャトリエおじさん”ということになる。
 この法則には4つの事柄がある。

(1)濃度: N2 + 3H2 2NH3

 窒素と水素を反応させるとアンモニアができる。これはいわゆるハーバー法である。例えば、この平衡において水素を加える、あるいはアンモニアを取る。それぞれ操作は違うのだが平衡は右へ移動する。考えてみれば当たり前である。水素を加えたら、水素を左辺に加える。水素が少し増え過ぎになるので減らすために反応が右へ行く。
 アンモニアを除くと、アンモニアが減ってしまうので補ってやろうと言う訳で反応が右に進む。

H2を加える
NH3を除く
右へ移動する

(2)圧力 → 圧力が高くなると、分子数を少なくして凌ぐ

 N2O4 2NO2


圧力(高)

 右辺は2分子、左辺は1分子で圧力が高くなると平衡は左へ移動する。つまり、圧力が高くなると分子数を少なくして凌ぐ。
 ここでル・シャトリエの基本理念を考える。
 ル・シャトリエの基本理念はツッパらない。例えば圧力が上がってきているのに『分子数を増やしてツッパろう!』なんてことはしない。できるだけ緩む方法に働く。分子数が増えたら圧力が上がってしまう。つまり、圧力はただでさえ上がってしまうのだから、上がり方を押さえる方向へ動く。分子数を減らせば圧力の上がり方が少なくてすむ。このようなイメージを持っていれば問題はない。
 圧力が低くなると分子数を増やして凌ぐのだから、平衡は右へと移動する。圧力が高い場合と低い場合、両方いっぺんに考えると訳が分からなくなるから、必ず片方で考える。

(3)温度  発熱反応は冷やせば右辺に進む☆☆

 実は、ル・シャトリエの法則の勝負処はここである。上記の事柄を忘れてしまっても導き出せるので特に心配はない。
 では、上記の事柄を導いてみる!
 進むと言う事は右方向に向けてである事を意識しておく。普通、反応が進むと言うと右方向へ進む。この事から、発熱反応において冷やしたら右へ行くと言う事である。

 N2 + 3H2 = 2NH3 + 89 kJ

 これは発熱反応なので、エネルギー図を書くと右辺が下になる。

 

 エネルギー図を使う!
 エネルギー図は結合エネルギーのところでしか使わないと思っている人がいるかもしれないが、別に結合エネルギー図でしか使ってはいけないという決まりはない。使いたい時に、使えばいい。ただし、結合エネルギーの問題を解く場合には使わないとその分損をするだけという事を覚えておくとよい。
 まずは、上下でモノを見る。
 暖めたら、その分エネルギーが高くなるからエネルギー図の上方向、逆に冷やすとエネルギーが下がるからエネルギー図の下方向。つまり、暖めれば左、冷やせば右方向に平衡が移動する。
 これは、全ての場合に適用できる。発熱反応を暖めたら左に平衡が移動し、吸熱反応を冷やしても左に平衡が移動する。逆に吸熱反応を暖めると、右へ平衡が移動する。

 K = [NH3]2 / [N2][H2] 3 → 減少関数(発熱反応)

 この反応について、平衡定数を書いてみると上記のようになる。これは減少関数である。つまり、温度が上がると分母の方が大きくなる。だから、温度が上がるとKの値は小さくなるので発熱反応の場合、減少関数である。逆に吸熱反応の場合は、動きが逆になるので当然、増加関数になる。

(4)触媒 → 平衡移動には関与しない

 これは、丸暗記するのが無難である。上記の事柄は触媒を加えても平衡は移動しないという事を示している。反応速度でも述べたが、触媒を加えると反応のスピードが上がるから早く平衡状態に達する。しかし、行き着くところは同じなので、触媒には平衡移動に作用する力はないと言及できる。

 ・触媒

  

 ●とは左辺と右辺のレベルである。山は左辺と右辺をエネルギー的に結んだだけのもの。このことから、反応するとは言っても普通には反応できない。例えば、●が反応してになる。左辺から右辺になるときスムーズにはいかない。山を越えなければならないからだ。この越えるべき山の高さを活性化エネルギーと言う。
 活性化エネルギーは2通りある。右側から左側へ戻る時には左側から来るときよりも道のりは長い。つまり、麓から山頂まである。上記で描いたのは左辺から右辺に行くときの活性化エネルギーである。このように活性化エネルギーを加えると山の向こう側へと行ける。非常にエネルギーの高い状態を活性化状態と言う。
 結合エネルギーを既に学んだからは『天上人』だと思うかもしれないが、結合エネルギーのところで登場した『天上人』はアクマでも仮定的なモノである。結合する時に『分解!』とか言って分かれて『結合!』とか言ってくっつく訳がない。結合エネルギーの処で述べたように『バラバラほどエネルギーが高い』と言うのは仮想的な話である事を肝に銘じておいてほしい。実際に反応が起こる時にはもっと中途半端な結合の壊れ方で反応が行われる。ここでは『天上人』とまで行かなくとも反応できると言う事である。触媒を加えると上図で言うが低くなる。つまり、楽に山の向こう側に行ける。触媒を加えた場合、頂上、つまり楽に反応できる状態を作る事が出来る。これは活性化状態でもよいのだが特に活性錯体と言う。活性化状態と活性錯体と言うと頭が混乱しそうだが、入試でもよく混同してしまう。上図の下部に注目してほしいのだが、遷移元素と言うのは性質として触媒として使えるモノが多い(Mn、Fe、・・・、etc)。そして、遷移元素と言うと錯イオンを作るものが多い(Cu、Ag、・・・etc)。このような訳で触媒と言うと錯体と言う言葉がけっこうmatchingする。つまり、触媒が一旦結合する、さして配位結合の状態を作って非常に反応しやすい状態になってそれが反応していく。触媒というのは自分自身は変化しないのだが、一瞬だけなら反応の現場に顔を出す。でも、最終的には変化はしない。
 上図の矢印はN2 + 3H2 = 2NH3 + 89 kJの左辺と右辺の差、つまり89kJであるので反応熱という事になる。

(1)活性化エネルギーを低下させる

 活性錯体を作るという事は結局、活性化エネルギーはそれほど必要としないのだから、活性化エネルギーは大幅に下がる。

(2)(1)の結果、反応速度を増加させる。

 活性化エネルギーが低下したので当然、山の向こう側へ行きやすくなるので当然の如く反応速度は速くなる。

(3)平衡移動には関与しない

(4)反応熱は変化しない

 正触媒 ←→ 負触媒(ハッキンカイロ)

 反応熱はstartとgoalのみで決まる。触媒を加えても活性化エネルギーが低下するだけで反応熱は全く変化しない。
 入試では触媒というと正触媒の事を示す。触媒というと反応を補助するイメージがあるが、一般的にはそれでよい。例外的に触媒の中には負触媒、つまり反応を邪魔するモノがある。負触媒の代表例としては白金懐炉がある。
 白金懐炉の白金はプラチナ(Pt)である。白金は懐炉の口を開けると点火するところにだけ少量の白金がある。懐炉の中に燃料(=ベンジン等)を入れ点火する。この時、普通に点火すると危険である。白金が負触媒として働きベンジン等をゆっくりと燃焼させるため、火傷をせずに燃料も長く持つ。


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