単糖類と二糖類の話

1.炭水化物とは
 まず、ここでは炭水化物と入り口ともいうべき分野を学んでおく。
 炭水化物とは何か?
 「米とかパンとか・・・」と、いう考え方は家庭科であって化学ではない!化学では糖類のことを示す。分子式をサッと見ていくと必ずCm(H2O)nと表す。水素と酸素は必ず2:1で存在する。だから下記のように表せる。

 Cm(H2O)n  (m,n ≧ 6)

 m,nは本当は3以上なのだが入試の範囲では6以上と示しておく。例えば、m,nの数が何でもいいのであればm,nがともに1だったら、CH2O示性式になおすとHCHOとなり今晩のおかずはホルマリンとなってしまう。勿論、ホルマリンは飲み食いできるものではない。
 いくらm,nの数が何でもいいといってもある程度数がなければならない。正式には3つ以上あればいいのだが大学入試の範囲では6個と考える。
 受験生に必要な知識は最小単位つまり単糖類である。

2.単糖類 C6H12O6 (=180)
 ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース
 入試では単糖類の分子式が与えられている。分子量は180とキッチリ覚えておくこと!
 勿論、単糖類は3種類だけではない。大学で生化学等を学ぶようになるとアラビノース、キシロース、マンノース等が登場するが、入試では上記の3つしか扱わない。これらは分子式が同じでもお互いに全て異性体ということを認識しておくこと!

2−1.α−ブドウ糖の構造式
 ここでは単糖類の主役であるブドウ糖の構造式をまず確認する。
 参考書等にα−ブドウ糖の構造式が掲載されているから100回書いて覚えるというやり方はあまりにも意味がない。α−ブドウ糖の構造式は3段階方式で覚える。

(1) 六角形を作る(1つは)
 ブドウ糖の構造式は六角形を中心にしている。炭素ばかりで六角形を作っていると思いきやそうではない。一つだけ酸素が入っている。

(2) 旗をたてる
 これは一体何をいっているのか?
 構造式の一番上のCH2OHを旗といっている。

(3) 下、上、下、下
 ここまでで余計に分からなくなってしまったかもしれない。しかし、(1)、(2)、(3)を手繰っていけば構造式が書ける。
 勿論、入試では構造式全体ではなく穴埋め問題で聞いてくることが多い。

 

 この六角形に含まれる炭素は5個なので1個余っている。この余っている炭素をとして立てる。 水酸基を1〜4までの番号の振られた炭素に下、上、下、下と左から右へと付ける。
 上の構造式の炭素に割り振った番号はよく使うので覚えておく。
 まず、性質として確認しておきたいのは『5C−O−1C』の『−』はエーテル結合で『O-1C』間のエーテル結合が切れる。エーテル結合って切れるものなのか?普通は、エーテル結合は切れない。しかし、水酸基とワンセットではじめて切れるものなのだ。これは、生化学を学ぶと分かることだがこのエーテル結合のことをヘミアセタール結合という。ここでのポイントは、”普通のエーテル結合は切れるわけがない。水酸基とワンセットで切れてしまう”ということである。
 エーテル結合が切れてしまうとどうなるのか?

 ※ エーテル結合が切れた時1Cについている水酸基のHが離れOとくっつく。

 このエーテル結合が切れると、上の図で示すようにアルデヒド基ができる。エーテル結合している炭素の反対側の炭素はどうなるか?と迷うことがあると思ったので書いておいた。エーテル結合が切れた1Cと反対側の5Cの方は上記で示したようにOにHがくっついて水酸基になる。

 

 ブドウ糖はアルデヒド基が登場するので還元性がある。このエーテル結合が切れるとクルクル回って1CHOHが180°回転してくっつく。つまり、の中のHとOHの位置が入れ替わって逆になる。これをβ−ブドウ糖という。
 4CにくっつくHとOHが逆の場合
 α−ブドウ糖が1CにくっついているOHが入れ替わってβ−ブドウ糖になったようにエーテル結合は切れない。よって、45Cの結合は切れないから普通は逆にはいないのだがHとOHが逆についた化合物はガラクトースという。このように、ガラクトースはけっこう楽に登場する。
 ここまで学んだら、α−ブドウ糖、β−ブドウ糖、αーガラクトース、β−ガラクトースの4種類が書ける。

 


3.二糖類 C12H22O11 (=180×2-18 = 342)

ハ 二糖類で覚えるのは、麦芽糖(マルトース)、ショ糖(スクロース)、乳糖(ラクトース)の3つだけ。二糖類はブドウ糖がベースとなっており、各々ブドウ糖、果糖、ガラクトースがくっつく。二糖類は、単糖類2つが脱水結合している。ブドウ糖2つが脱水結合してマルトース、ブドウ糖と果糖が脱水結合してショ糖、ブドウ糖とガラクトースが脱水結合して乳糖になっている。
 二糖類の分子式は単糖類が2つくっついて水が1つ取れることから導け、同様に分子量も180×2-18=342と導ける。

麦芽糖(マルトース)
↓加水分解
ブドウ糖(グルコース)+ブドウ糖(グルコース)[酵素:マルターゼ] 

ショ糖(サッカロース)
↓加水分解
果糖(フルクトース)+ブドウ糖[酵素:サッカラーゼ]

乳糖(ラクトース)
↓加水分解
ブドウ糖+ガラクトース[酵素:ラクターゼ]


 上記で『ショ糖(サッカロース)』と書いたが、ショ糖はスクロースともいい、酵素はサッカラーゼまたはインベルターゼである。サッカラーゼもインベルターゼも同じ酵素で単に呼び名が異なるだけのこと。
 二糖類で確認したいことを下記に記す。
 
 ★ 単糖類、二糖類(6種類)のうち還元性を持たないのはショ糖のみ

 入試の範囲では単糖類はブドウ糖、果糖、ガラクトース、二糖類は麦芽糖、ショ糖、乳糖の全部で6種類ある。
 単糖類の範囲で学んだように、還元性を持つものが多い。理由としては、途中でアルデヒド基が登場しているからである。しかし、この中で還元性を持たないものがいる。単糖類は全部還元性を持つ。二糖類はショ糖以外は還元性を持つ。ショ糖が還元性を持たない理由は、果糖(もしくはブドウ糖)の還元性を示す部位にブドウ糖(もしくは果糖)が結合しているので、エーテル結合を切って、アルデヒド基を登場させることができない。

 ★ ショ糖を加水分解して得られた混合物を転化糖という

 ショ糖は砂糖の主成分である。ショ糖を加水分解すると原料であるブドウ糖と果糖とに分かれる。だから、ブドウ糖と果糖がごちゃ混ぜになってこれを転化糖という。

 鉄則 : 二糖類のbaseには必ずブドウ糖がいる


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