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はじめに
火曜日や土曜日の夜にTV放映されている、2時間物のサスペンスドラマで一度は『ルミノール反応』という言葉を耳にしたことはないでしょうか。事件や事故が起きたとき、警察が使うことで有名なルミノール反応。見た目が面白いが故に学園祭などで「客寄せ実験」によく使われる反応だが、これはどんなものなのでしょうか。以下にルミノール反応について解説していきます。
1.概要
化学発光(化学ルミネンス)という現象を知っていますか?
一般的に化学反応では発熱反応/吸熱反応に代表されるようにエネルギーが発生します。発熱反応の時、放出されるエネルギーはほとんどの場合、熱として放出されます。しかし、熱としてではなく、光としてエネルギーを放出する反応もいくつか知られています。
このように、化学反応によって発光する現象を化学発光といいます。通常、酸化反応でみられ、多くは青紫、青、あるいは青緑色に発光します。この現象は自然界でも生物発光として目にすることができます。例えば、蛍や海蛍などの発光が該当します。この反応はルシフェリンという化合物がルシフェラーゼという酵素の作用によって空気中の酸素に酸化されるときにおこります。そのため、蛍の光は呼吸に連れて明るくなったり暗くなったりします。また、黄リンも空気にさらすとリンの蒸気が空気酸化されてかすかに青緑色に発光します。
化学反応を示すものとして他にはロフィンやルミノールが古くから有名です。しかし、ルミノールほど効率よく化学発光する分子はほとんどありません。ここではルミノールの酸化によって起こる化学発光を考察していきしょう。この反応は現在、犯罪捜査で血痕の検出に用いられています。
2.実験及び手順
2−1.用意するもの
ルミノール、水酸化ナトリウム、過酸化水素水、ビーカー(2個)、フェリシアン化カリウム
フェリシアン化カリウムは直接反応には関与しない。つまり触媒なので、なくても反応は起こるが、触媒があるのとないのでは発光度合いに大きな差が出てくるのでしっかりと反応をさせたい場合は触媒は用意しておくべきです。
2−2.実験手順
1)5%の水酸化ナトリウム水溶液を作る
2)水溶液100mlあたり約0.1gのルミノールを溶かす(溶液A)
3)もう一方のビーカーに3%の過酸化水素水を作り、フェリシアン化カリウムを少量加える(溶液B)
4)溶液Bを溶液Aと混ぜる。
→ 溶液は青紫色に発光する。
3.原理
この反応は化学発光反応と呼ばれるものの一種で、ルミノールがアミノフタル酸へと変わる際に起こる発光現象です。

まずはじめに、化学反応はお互いの持つ電子の受け渡しによって起こるモノとイメージする。
電子などの素粒子が、持っているエネルギーは常に幾つかの値を持っており、その間の中途半端な値をとることがありません。つまり、変化が連続的には起こらず飛び飛びの値を行き来することになります。この”とり得る飛び飛びの値”をエネルギー準位と言い、あるエネルギー準位から別のエネルギー準位へ移る際には、決まった量のエネルギーの出入りが起こります。
我々が普段、そのことを実感しないのは、”飛び飛びの値”と言えども値の差の幅が非常に狭いので、連続的だと考えて差し支えないからです。
電子は原子核の周りに飛び飛びにある電子殻と呼ばれる軌道上を回っています。これをボーアモデルといいます。
これは、大相撲の土俵とイメージしてみてください。中心の土俵を原子核とすると、その周りの客席が電子を入れる電子核ということになります。一番、土俵に近い枡席には2人しか座れない、ここがK殻と呼ばれる電子殻になります。(もっと、座れると思わないでください。電子の枡席は2つしか席がありません。)その外側は、同心円上に広がっていて2列目のL殻は8つ、3列目のM殻は18席、4列目のN殻は、32席、n列目には2×n2の席が入ります。ちなみに、電子殻はQ殻まであります。
この、電子の席は必ず内側の席から埋まっていきます。大相撲をより近い場所で見たいと多くの人が欲するように、電子もエネルギー準位の低い内側から入ろうとするというのが理由です。
反応により、電子がエネルギーを受け取り、エネルギーの高い外側の軌道に飛び移ります。


この高いエネルギー状態を励起状態と呼び、大変に不安定なので、電子はエネルギーの低い内側の軌道に落ちて安定な状態(基底状態)になろうとします。この時に、エネルギーが余ります。この世界にはエネルギー保存則というのがあり、勝手にエネルギーを消す訳にはいきません。
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そうすると、何らかの形でエネルギーを放出する必要が生じます。エネルギーを放出するのに最も手っ取り早い方法は何か?この問いに対する答の1つが、発光ということになります。
この原理をルミノールの化学反応で示すと下記のようになります。

ルミノールは、鉄錯体(フェリシアン化カリウム、ヘモグロビン等)などにより触媒されて上記の反応を起こし、化学発光を起こします。
出てくる光は、波長が約460nmで青白い色になります。化学の実験では、ある種の金属があるかないかを調べるのにも使われます。
余談ですが、血液中の主成分である赤血球にはヘモグロビンという物質が含まれています。このヘモグロビンは鉄錯体物質で、この化学発光を強く触媒するという特徴があります。そのため、ルミノールは微量の血液と作用して化学発光を起こすという面白い性質があります。そういう理由から、この反応は犯罪捜査における血痕の検出法として昔からよく用いられており、俗に「ルミノール反応」と呼ばれています。
4.その他の化学発光
蛍光燈が光るのは、中で起こっている放電によって生じる紫外線が、ガラス管の内側に塗られた蛍光塗料を光らせるからです。この蛍光塗料を塗らないと、放電によって生じた紫外線がそのまんま出てしまって、人間の目には明るく感じません。これが、日焼けサロンやディスコで多用されるブラックライトです。
蛍光燈のガラス管の内側に塗られたものだろうと、壁に絵として描かれたものだろうと、洗濯物に使った漂白剤に含まれていたものだろうと、蛍光塗料が紫外線を受けて発光することには違いありません。どの蛍光塗料も、紫外線のような可視光線よりもエネルギーが高い電磁波を受けると励起状態になり、幾度か励起状態を経由して、最終的には基底状態に戻ります。エネルギーを失う時に、可視光線を発します。仮に、一気に基底状態へ戻てしまうとすると、励起状態へ移るときに吸収したのと同じ紫外線を出すことになるので、発光現象は確認できないということになります。
蛍光塗料にも色々あります。例えば、時計の文字盤に使われる夜行塗料。これは、励起状態になった分子が少しずつ基底状態に戻ります。可視光線で励起状態になっているので、一気に基底状態へ戻ったとしても発光現象は確認できるということになります。
発光現象で、レーザー光線を使うと面白い現象が見られます。レザー光線自体が励起状態から基底状態へ戻る際に、発光という形でエネルギーを放出することを利用しています。
ある物質(ルビーなど)が基底状態のとき、ある波長(物質によって異なるので注意)の光が当ると、その光を吸収して励起状態になります。この時、もう1回同じ波長の光を当てると、吸収してよりエネルギーの高い励起状態になるということはあり得ません。とり得る値は電子殻の配置からして飛び飛びですから、そう都合よくエネルギー順位は存在しません。答えとしては、2度目に照射されたレーザー光線が基底状態へ叩き落としてしまします。当然、エネルギーをどこかで放出する必要が生じますが、2度目に照射されたレーザー光線と放出された光が一緒に去って行きます。
こうなると、ある特定の波長の光に対してのみ働く増幅器みたいなものです。励起状態の物質満たされた装置に弱い光を照射するとエネルギーが高くなります。しかも、完全に同じ波長の光ですから、プリズムを通しても分解しません(これが白色のレーザー光線は存在しない理由です)。実際には他にも色々と工夫されていて一般的なレーザー光線となるのですがここでは割愛させていただきます。
レーザー光線は医学分野で広く応用されています応用されています。ここでは、レーザー治療について述べていきます。
腫瘍にある種の物質を含ませて、そこへレーザー光線を当てることで腫瘍を死滅されます。この「ある種の物質」とは光感受性物質というモノで、光(この場合はレーザー)によって励起され、励起一重項酸素なるものを放出し、この励起一重項酸素が細胞を殺してしまうのです。
腫瘍を構成する細胞を殺すのが励起一重項酸素なら、治療に用いられる光感受性物質は、より多くの励起一重項酸素を放出する方が望ましいということになります。そこで、どうにかして励起一重項酸素の測定を行いたいところです。どの光感受性物質がより多くの励起一重項酸素を放出するかを調べるときにルミノール反応を使います。
ルミノールは、一重項酸素によってアミノフタル酸へ変化し化学発光を生じます。よって、励起一重項酸素の量を測定するには、ルミノール反応を用いて発光量を測定すればいいのです。ルミノール反応の実験で過酸化水素水が果たしている役割を、光感受性物質が代わりに受け持っているということです。
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