金属樹の生成


 1.金属樹とは何ぞや?
 金属樹とは、金属のイオン化列というものの影響から金属イオンの交換が起こりそれによって生成される金属のことで、それが樹状に生成されることから金属樹と呼ばれています。

 2.実験について
 実験の基本的なことは
 1.イオン化列の高い金属がイオンの状態になっている水溶液に
 2.その金属イオンよりイオン化列の低い金属を入れる。
 と、これだけです。(イオン化列は後述「参考」を見て下さい)
 もちろん基本だけでは「金属樹」と呼べるきれいな金属は出てきません。きれいな金属樹を作るためにはそのためのやり方というものがあります。
 下記に、金属樹の中の銀樹を例に取って、金属樹のつくり方を2通り説明していきます。
 これを見れば、あなたも見事な金属樹が作れる! ・・・はずです。

 <参考>
 金属のイオン化列
(低) K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H2) Cu Hg Ag Pt Au (高)
左に行くほどイオンになりやすく、右はその逆です。

 3.平面に広がる金属を作る
 シャーレの中のろ紙の上で銀樹を育成、もとい生成します。この方法は、「金属樹」の名前の通り樹状に銀が伸びていくのがよく分かります。やり方も簡単で必要な溶液なども少量でいいため低コストです。結果も分かりやすいのではじめはこちらの方法をおすすめします。

 <必要な器具>

 ・シャーレ(ふたがあるモノ)
 ・濾紙
 ・銀イオンの溶液
 ・よく磨いた2cm四方のほどの銅板
  注:銅板は反応をよくするためによく磨いておきましょう。

 <溶液の精錬>

 A:0.5〜1.0mol/lの硝酸銀水溶液
 B:0.1mol/lの硝酸銀水溶液

 A:基本的な濃度の範囲です。濃度が高くなるほど銀樹は太く美しくなりますが、その分伸びが悪くなります。適度な濃度を探しましょう。

 B:この濃度の溶液を使うと、銀樹の成長が非常に早くなります。1時間ほどで観察に十分な大きさに育てることが出来ます。

準備が出来たら、早速実験開始です!

 <実験手順>

 1.はじめに、シャーレに濾紙を敷く。

 注:濾紙が入らないときにはまわりを切りましょう!

 2.シャーレに濾紙が充分に染み渡るくらいのくらいの溶液を入れる。
 
 注:あまり入れすぎないようにする。濾紙に染み渡れば充分。

 3.濾紙の真ん中に金属片を入れて、ふたをして暗所に放置する。

 
 注1:銀は光ですぐに変化してしまうので、冷暗所に置いておきましょう。
 注2:金属樹は非常にもろいので、衝撃を与えないように。

これで金属樹が生成されてくるはずです!

 4.金属樹の作り方 立体編
 試験管の中の導線に様々な方向に金属が析出してきます。樹状はどうかは多少見づらいですが、2Dにはない美しさがあります。中に入れる金属の形をいろいろと変えてみたり、もっと大きなビーカーでやってみたりなどと工夫してみてもいいでしょう。

 <必要な器具>

 ・大型の試験管
 ・銀イオンの溶液(後注)

 よく磨いた導線
 注、銅線は反応をよくするために磨いておきましょう。銅なら何でも良いのですが、線が一番やりやすいかと思います。

 <溶液の精錬>

 A: 水200cm3 : 硫酸銀 4g
 B: 水300cm3 : 硝酸銀 5g

 さらに、どちらの場合もpH調整のため、濃硫酸10cm3を加えます。

 

 A: 3Dの基本的な溶液がこちらです
 B: この溶液でも十分出来ますが、Aより弱くなってしまうので出来ればAの溶液を使った方がいいです。


 こちらも準備が出来たら早速実験開始です!

 <実験手順>

1.試験管に溶液を充分加える。

 2.銅線を螺旋状に巻く。

 3.2.で作った螺旋状の銅線を試験管に入れて放置する。
 

 注:放置するときには衝撃を与えないようにしましょう。
   せっかく出来た金属樹が壊れてしまいます。

 手順も、必要器具も平面のより少ないですね。
 これで、入れた金属の周りに溶液の金属が析出してくるはずです。

 5.他の金属の金属樹を作るために使用する溶液

平面 銅 0.5mol/lの塩化銅(II)水溶液
アルミニウムまたは亜鉛片(大きさは上記の通り)

立体 銅 硫酸銅2g : 水100cm3
鉄釘をつるす


平面 スズ 0.5mol/lの塩化スズ(II)水溶液
亜鉛片

立体 鉛 酢酸鉛6g : 水300cm3
+氷酢酸を水溶液の白濁が消えるまで加える。
亜鉛片をつるす

 手順は銀樹の時と一緒です。使用する溶液、金属を上記のものと変更して実験すれば太字で書いてある金属の樹を作ることが出来ます。

 6.金属樹の保存について

 <寒天溶液を使った保存法>
 寒天溶液を使って寒天の中に金属樹を作ります。見た目も保存性もいいので、本当は文化祭でお見せしたかったんですけど、時間の関係もあり、次回に回すことにしました。でも次回って・・・?

 寒天溶液の作り方は
 寒天10g:水500cm3の割合で、煮立たせながら作ります。

 これを金属の溶液にそれと同量加え、熱いうちに金属片を入れます金属片を入れる前に寒天が固まってしまわないように注意しましょう。
 この方法で一週間もすれば寒天の中に立派な金属樹が完成してしまいます。

 <濾紙上の金属樹の保存法>

スズ樹 亜鉛片などをピンセットなどで取り除いて、軽く水洗した後風乾燥すればOKです。

銅樹 亜鉛片などをピンセットなどで取り除き、少量の1N塩酸で洗ってから、水洗して風乾燥します。

銀樹

銅板をピンセットなどで取り除き、1N塩酸少量で銀イオンを沈殿させ、一度水洗します。次にチオ硫酸ナトリウム水溶液に浸して塩化銀をのぞいてもう一度流水で静かに洗います。
日陰に置いて乾かし、ラップなどで包んで保存しましょう。

おしまい


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