葉脈標本でしおりづくり

 はじめに

 植物の葉を光に透かしてみると、複雑な網の目や、まっすぐに伸びたすじのようなものが見えます。これが葉脈です。地中からの水や葉で作られた栄養を運ぶ、大切な役割を果たしています。

1.実験準備

 <試薬>

 ・ 2mol/l水酸化ナトリウム水溶液(NaOH)(80gの水酸化ナトリウムを水1Lに溶かしたもの)

 ・ 次亜鉛塩素酸ナトリウム(漂白剤)(NaOCl)
   NaOCl → 2NaCl + O2

 <器具>

 ・ビーカー
 ・ピンセット
 ・古い歯ブラシ or 試験管ブラシ

 <葉脈標本に適した木の葉を選ぼう>

 葉脈標本に適するのは、柊、椿などの肉厚の厚い葉です。単子葉植物の葉は、葉が平行になっているので、この実験には向きません。また、椿に比べ、ヒイラギの葉脈は二重構造で形が崩れにくいので、より作りやすいと思います。
 若かったり、斑が入っている葉は適しません。古く、光沢があり、斑が入っていない葉は、葉肉や余分な繊維を簡単に取り除くことができます。

2.実験その1

 <実験手順>

 (1) 選んだ葉を、水酸化ナトリウム水溶液で20分くらい煮ます。水酸化ナトリウムは、タンパク質を溶かす危険な薬品なので、目や皮膚につかないように注意します。また、目に入ると失明の危険があるので、保護めがねを着用します。皮膚についた時は、流水でぬめり気を完全に洗い流します。

 (2) 葉が柔らかく茶色になったら取り出し、流水でよく荒い、流水を当てながら歯ブラシor試験管ブラシを葉に垂直にあて、軽くたたいて葉肉や余分な繊維を取り除きます。強くたたいて無理に葉肉を取ると、葉脈が切れてしまうので気をつけます。葉肉が硬い場合は、無理に取ろうとしないで、再度、水酸化ナトリウム溶液で煮るようにします。

(3)葉脈の色素を落とし染色しやすくするために、次亜塩素酸ナトリウムに10分ほど浸し、水でよくゆすぎます。長時間浸し過ぎると葉脈が破けてしまったり、溶けてしまうので気をつけます。

(4) 葉の変形を防ぐために、窓やろ紙に貼つけ、乾燥させます。葉の裏側から貼つけると良いです。
 乾燥したら染色し、ラミネート用紙に挟み、ラミネートします。

3.葉脈標本にニッケルめっき

 ここでは、葉脈にニッケルめっきをする方法をご紹介します。
 めっきに使う溶液は3種類ありますが、1週間保存がきく溶液と、当日しか使えない溶液とがあります。
 ニッケルめっき液はpHを合わせるのに意外と時間がかかるため、1度に時間が取れないときは、保存のきく溶液をまず作り、実験当日に、当日しか使えない溶液を作ります。

 <試薬>

塩化スズ(II) SnCl 1.0g
塩化パラジウム PdCl2 0.2g
次亜リン酸ナトリウム NaH2PO2 13.2g
硫酸アンモニウム (NH4)2SO4 66.0g
クエン酸ナトリウム Na3C6H5O7 51.6g
硫酸ニッケル NiSO4 15.4g
塩酸 HCl
純水

 

 <器具>

 ・ビーカー(1L、500ml、200ml)
 ・ガラス棒
 ・ピンセット
 ・温度計

 溶液を作る時には、純水または蒸留水を使用します。水道水にはさまざまな不純物が含まれているので、メッキがうまくできなくなることがあります。
 めっき液をつくる時には薬品を完全に溶かすことが大切です。光に透かすなど、細かい粒子が残っていないことを確認します。

3−1.水溶液をつくる

 <実験手順>

 

 1)触媒化A液
 (感受性化液)1L(つくった日のみ使用可)
 塩化スズ(II)1.0gを希塩酸(37%濃塩酸1ml/L)に溶かして、1Lにします。塩化スズ(II)の表面が白い場合には、薄い塩酸でよく洗い、無色透明な結晶にして水分をよく拭き取ってから測ります。

 2)触媒化B液
 活性化液1L(1週間保存可能)
 塩化パラジウム0.2gをよくかき混ぜながら希塩酸(37%濃塩酸0.1ml/L)に溶かして1Lにします。

 3)ニッケルめっき液
 1L(1週間保存可)
 次の試薬をそれぞれ200mlの純水に溶かします。

 ・次亜リン酸ナトリウム 13.2g
 ・硫酸アンモニウム 66.0g
 ・クエン酸ナトリウム 51.6g
 ・硫酸ニッケル 15.4g

 さらに、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整します。最後に純水を加えて全体を1Lとします。

3−2.ニッケルめっきをする

 
1)前処理をする
 まず、葉脈標本を触媒化A液に1分ひたして水洗いし、B液にも1分ひたして水洗いします。
 この操作を2、3回繰り返します。このとき、葉脈を持つために、ニッケルがつきにくいエナメル線を葉脈をこわさないように通しておくと扱いやすいです。(ピンセットでも代用可)



 2)めっきをする
 めっき液を入れたビーカーをさらに大きいビーカーに入れた90℃のお湯に浸して、90℃に保ち、前処理をした葉脈を浸します。液が蒸発しないようにラップをかぶせておきます。
 水素の泡が発生して約1分でてきます。水洗いし、重しをして乾燥させ、完成です。黒い紙や布に載せてみて、ニッケルの光沢があれば成功です。



3−3.原理
 前処理の理由
 葉脈標本は金属ではないので、そのままではめっきできません。始めに葉脈標本上に触媒核を作る必要があります。
 まず、葉脈標本を塩化スズ溶液(触媒化A液)に浸します。
 すると、葉脈標本の表面にスズイオン(Sn2+)がつきます。
 そして、それを塩化パラジウム溶液(B液)に浸します。
 そうすると溶液中で下記のような反応が起こり、葉脈標本上にパラジウム触媒核ができます。

 (反応式)
 Pd2+ + Sn2+ → Pd + Sn4+

 要するに、表面に金属がついたのでめっきができるというわけです。

 金属がめっきできる理由

 めっき液中には金属イオンがあります。
 めっき液に基盤(ここでは前処理済みの葉脈標本)を入れると、基盤上で還元剤(ここでは次亜塩素酸ナトリウム)が酸化し、電子を放出。金属イオンが電子を受け取り金属になります。
 それが基盤につく=めっきをする
 という理由です。専門用語を使うと難しいので、なるべく使わないように・・・と思いましたが、結局よく分からない説明になってしまいました。ニッケルめっきの場合の反応でより詳しく!分かってもらえると嬉しいです。

 <参考文献>

 ・葉脈めっき(少年写真新聞社)
 ・おもしろ実験・ものづくり辞典(東京書籍) 執筆担当 江口華子先生

4.あとがき

 ☆★ぶれいく・たいむ★☆

 それでは、私が小学生の時からハマっているペットについて、ご紹介したいと思います。そのペットとはどこにでも生息していて、餌がいらない。ねっ、いいことでしょう。なんだと思いますか?
 それは......です。あっ、こんな小さな字だと、顕微鏡がないと読めませんね。あっ、ヒント言っちゃった。もうお分かりですよね?

 答えはプランクトンです。

 ここで、プランクトンの中から2人(?)をピックアップして、ご紹介してみたいと思います。
 1人目は池の人気者(・・・か、どうかは分かりませんが)、ミュージシャン(?)、ラッパムシです。ラッパムシが演奏を始めると、にわかにプランクトンたちの動きが活発になります。(○冨士ダンスみたい?)、2人目は池のろくろくびこと(っていうか私が勝手に名づけました)、ツリガネ虫です。ふだんは藻にしがみついて(?)首のようなものを伸ばしたり縮めたりしています。しかし、まれに藻から見放され(?)首から上だけが浮遊していることもあります。あー、何か書いてて気持ち悪い。なんだか涼しくしてしまいましたね。
 これを読んでプランクトンに興味を持った方は、今すぐ(?)スポイトを持って、池に行ってみてください。素晴らしく不思議な世界がまっていますよ。(でも、顕微鏡もいるなぁ。いくら視力がよくて2.0あったとしても、見える訳ありませんしね・・・)

 めっきの歴史

 鍍金と書いてなんと読むか知っていますか?
 答えは「めっき」です。そう、めっきは日本語だったのです。めっきの技術は、奈良時代に大陸から入ってきました。
 皆さんもよーくご存知の奈良の大仏様には、金めっきが施されていたのです。まぶしいばかりに黄金に輝く大仏様、いかにも霊験あらたかですよね。この時代のめっきは、「温着めっき」という方法を用いていました。金を水銀に溶かし、これを鋳造によって作られた大仏様に塗り、炭火で温めて焼きつけられました。※

 ※化学の知識

 水銀は金属の中で唯一常温で液体であり、金属を溶かす性質があります。水銀に金の塊を入れると、塊が水銀に溶けて液の中に滅して沈んでいく様子から、滅金(めっきん)と呼ばれ、それが訛って「めっき」となったとの一説が伝えられています。水銀に溶けた金は合金となります。一般に水銀との合金をアマルガムといいます。めっきというのは、化学変化を利用して物質表面に金属の薄い皮膜を形成する技術をいいます。金めっきをすることにより、酸化を防ぎ、大仏様を守っているのです。
 現在、めっきの技術はハイテク産業には欠かせないものです。私達が日頃お世話になっている携帯電話のプラスチックボディーの内側は、ノイズ発生の防止、電磁波がなるべく外へ出ないようにめっきによって金属皮膜が施されています。パソコン基盤の配線、CDにもめっきが利用されています。もちろんアクセサリーにも利用されています。


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