硫酸銅の結晶づくり


はじめに

 一年生の秋。初めての文化祭も何とか終了し、とりあえずやることがなくなってしまいました。長い二学期どんな実験をしてみようかな・・・おおそうだ!わたしは光り物が好きなので大きくてきれいな結晶をつくってみよう!
 ・・・という単純な発送から始めた結晶作り。何となく無色透明なミョウバンじゃつまらないので、とてもきれいな青色の、そして結晶作りとしてはミョウバンと同じくらいメジャーな硫酸銅で挑戦してもました。
 ・・・ところがぜんぜんうまくいかない。本当にうまくいきません。ちゃんと作れるようになったのは実は2年生になってからなのです。悲しいことに。何度やっても形は悪いし小さいし、最悪溶けちゃうし。一体何が悪かったのでしょう。

1.結晶の作り方

 物質には水に溶ける量が決まっています。硫酸銅もそうです。より水の量が増えればより多く溶けより温度が上がればより多く溶けるようになります。というわけで温かい水に硫酸銅を限界まで溶かし、その水溶液を冷ますと溶けきれなかった分が結晶となって析出します。これを再結晶といいます。ゆっくり冷やしていけば大きい結晶に、急いで冷やせば細かい結晶になります。また、冷やさなくても溶液の水分を蒸発させていけば、溶けきれなかった量が結晶になります。



わたしは自然冷却する方法を取りました。

 (1) 種結晶をつくる。シャーレに40〜50℃くらいの飽和水溶液を入れ、静かなところで自然冷却する。
 (2) 60℃くらいまで温度を上げた水に硫酸銅を溶かせるだけ溶かす。その後冷まして、45℃になった時点でろ過する。ろ過した飽和水溶液をゆっくりと50℃弱まで温める。
 (3) 種結晶に細い釣り糸などを結び、純水でそっとすすいでから飽和溶液に吊るす。静かなところにおいておく。
 最重要ポイント。それは温度です。
 飽和水溶液といっても、その中に濃度のゆらぎが存在します。濃い部分と薄い部分が絶えずゆらいでいて全体的に飽和でも、部分的には飽和しないところもあるのです。このゆらぎのせいで溶液の中にはごくごく細かい結晶が出来たりできなかったりします。この中に種結晶を入れると自然に発生した極小の結晶と競い合って成長し、結果、こんぺい糖のようなボコボコした結晶になってしまうのです。
 それを防ぐにはどうすればいいのか。ゆらぎを無くせばいいのです。飽和溶液の温度を少しだけ高くして、できかけた極小の結晶を消失させるのです。そうすると液はゆらぎの無い均一な溶液となり、種結晶はきわめてきれいに成長します。
 ここで難しいのは飽和溶液の温度をどれくらい上げるかということです。あまり高くし過ぎると種結晶まで溶けてしまいます。文献によると、飽和溶液の温度が40℃台では4℃上げ、50℃台では5〜6℃、60℃台では7〜8℃、70℃台では10℃前後だそうです。一年生の時にうまくいかなかった原因は、ここで温度を上げなかったことにあるようです。

1−1.硫酸銅

 硫酸銅について少し。
 硫酸銅の化学式はCuSO4希硫酸と過酸化水素水、熱濃硫酸、または酸化銅と希硫酸の反応で得られます。

 (反応式)
 Cu + H2O2 + H2SO4 → CuSO4 + 2H2O
 Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + 2H2O + 2SO2
 CuO + H2SO4 → CuSO4 + H2O

 硫酸銅は水和物といって、水分子がなければ結晶化できない物質です。硫酸銅五水和物を加熱していくと、水分が蒸発していって最後には硫酸銅無水塩という白い粉末になってしまいます。硫酸銅の青色は、銅イオンが水分子と結びついてテトラアクア銅イオンという錯イオンの色です。なので水分がなくなると白くなってしまうのです。この無水塩は少量の水と反応して青色を示すので、水の検出に利用されます。
 [Cu(H2O)4]2+

 硫酸銅(II)五水和物の構造

 


1−2.リーゼガング現象

 硫酸銅を使う実験を一つご紹介します。
 ゼラチンのようなゲルに一つの試薬を溶かしておき、これと沈澱をつくる他の試薬をゲルの中に自然拡散させると沈澱層状に生成する場合があります。これをリーゼガング現象といいます。1896年ドイツの化学者リーゼガングが発見したのでこのように呼ばれているそうです。

 使用する薬品 : 寒天、硫酸銅五水和物、濃アンモニア水
 使用する器具 : ビーカー、試験管

 (1) 寒天3%の水溶液50mlに対し硫酸銅五水和物を6.5gを溶かす。それを試験管に液柱が約12cmになるように入れ、固まらせる。
 (2) 濃アンモニア水4mlを硫酸銅寒天の上に静かに乗せ、ビニールでくるんだゴム栓をして放置する。
 実はこの現象がおこる理由はよく分かっていないそうです。けれど反応は反応は銅イオンとアンモニアの反応のようです。硫酸銅水溶液にアンモニア水を滴下すると薄い淡青色の沈澱ができます。水酸化銅という沈澱です。

 (反応式)
 CuSO4 + 4NH3 + H2O → Cu(OH)2 + (NH4)SO4
 さらにアンモニア水を入れ続けるとやがて沈澱は溶けてしまい、透明な濃青色の溶液になります。これは水酸化銅の沈澱が錯イオンになってしまうからです。このイオンをテトラアンミン銅(II)イオンといいます。
 (反応式)
 Cu(OH)2 + 4NH3 → [Cu(NH3)4]2+ + 2OH-

 水酸化銅の淡青色と錯イオンの濃青色が交互に重なり合い、この色の違いが層状になっているようです。


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