セッケンについて


1.油脂

 油脂は英語で液体の状態ならoil、固体の状態ならfatという。このように油脂のStartは皆が知っている。
 油脂の計算問題は必ず油脂1モルに対し、アルカリ3モルから入る。そして分子量で切って終わるというようにする。

 この反応は当然、加水分解なのだが、けん化と言う。実はこの カルボン酸の塩セッケンと言う。よく、洗剤のCMで”ヤシ油から作りました”と言っているのがあるが、本当にヤシ油が入っていたらベトベトになって大変である。つまり、ヤシ油の油脂をアルカリを加えてけん化してセッケンにしているのである。
 私大、センター試験問わず選択式で反応名を選べと言う問題が出ることがある。このサイトでは、油脂の説明で初めて”けん化”が登場するが、けん化と言うのは別に油脂の専売特許と言うわけではない。

 (cf)

 


 上記の反応名はケン化と言う、と言うことを学んだらケン化と言うのは油脂の専売特許ではないと拡張解釈してよい

1−1.高級脂肪酸(←カルボン酸)

 高級脂肪酸とは値段の高い脂肪酸と言うことではなく、分子量の高い脂肪酸と言うことである。しかし、しょせんはカルボン酸である。カルボン酸というイメージさえ持っていれば良い。

 飽和脂肪酸といったら基本はアルカンなので単結合ばかりと考える。上記でヤシ油の話をした。ヤシはもちろん植物である。植物油と言うのは分子中の二重結合がたくさんあるので融点が低い。だから、食器を洗うのに使える。牛の脂から作った洗剤と言うのはない。動物の脂は単結合ばかりで融点が高い。そのため、容器の中で固まってしまうからである。動物の脂はセッケンなどに使われる。 植物の油なら融点が低いのでサラサラの液状の洗剤になる。
 油脂は、ステアリン酸を親玉として考えていくとよい。 分子量は284である。これは、絶対に覚えておくべきである。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸は不飽和脂肪酸である。 (1)、(2)、(3)は二重結合数である。ステアリン酸の二重結合数が0だから、ステアリン酸の水素数35から、順に2個ずつ水素数が減っている 。だから、下へいくほど、融点が低くなっている。勿論、この二重結合は炭素間二重結合である。
 パルミチン酸とステアリン酸は飽和脂肪酸であるから単結合ばかりなのでアルカンの示性式から水を引くとすぐに示性式が求まる。つまり、アルカンの示性式から水素を1個取ってカルボキシル基をつけると飽和脂肪酸の示性式である。
 ステアリン酸の分子量284を覚えておくと、リノール酸はステアリン酸よりも水素が4個少ないので分子量280がすぐに求まる。高級脂肪酸は分子量が大きいので重さでスパッと切り分けて考えてゆきたい。
 ここまでで、なぜステアリン酸を親玉として考えていくかがご理解いただけただろう。

 鉄則
  高級脂肪酸は重さで切る !

 

2.セッケン(←高級脂肪酸のNa(K)塩)

 油脂をけん化したときに出てくる塩をセッケンという訳でついている酸は高級脂肪酸なので、一般にセッケンと言うことが分かる。

 斜線部部はRの部分である。斜線部分は実際には炭素が17個もついているので長い。
 イオン化するモノは水と仲がいい(親水基)。CとHしかないと油と仲がいい。油と仲がいいと言うことは水と仲が悪いと言うこと(疎水基)。水と仲のいい部分と悪い部分とを一緒に持っていればセッケンとして働くことができる。つまり、油汚れとくっついて水に流れるという事が条件となる。だから、親水基と疎水基とを同時に持つのだ。
 左の図はよく洗剤のCFで見かける人もいるだろう。汚れに疎水基を突き刺す。その周囲には大量の水があるので親水基が水の方を向く。本当は、疎水基がまんべんなくビッシリと油汚れをっつんでいるのだが簡略化した。
 左図のモノがコロイド状になり、この状態を洗浄(乳化)作用と言い、このようにコロイド粒子を作って洗剤は汚れを落とす。

2−1.セッケン水

 単なるセッケン水というのは油の汚れがない。油汚れがないと疎水基の行き場がない。
 周囲が水なので疎水基は互いに寄り添って水から逃れようとする。
 左図を見て”円盤状なんだ〜”なんて思ってはいけない!実は、球形をしている。周囲が水なので親水基を向けて水から逃れるように中に疎水基を抱え込むようなコロイドが出来る。
 このようなコロイドをミセルと言い、一般的にはミセルコロイドと呼ばれる。

3.合成洗剤

 合成洗剤自体は既に時代遅れで過去の遺物としか言えないのだが未だに大学入試などでは定番である。
 合成洗剤が家庭で使われていたのは1950年代、その後より洗浄力の強いリンの入ったモノが使われるようになってきた。だが、リン排水中に含まれると悪臭を発し、環境への問題があることから環境にやさしい酵素系洗剤が登場し、現在に至る。
 現在、スーパーなどの洗剤コーナーは酵素系洗剤で閉められており合成洗剤など使っている人は皆無なはずである。 
これを見て中性であることが分かるだろう。なぜならスルホン酸は強酸、水酸化ナトリウムは強塩基なので中和して中性になる。だから、ABS洗剤は中性洗剤とも呼ばれる。
 ベンゼンスルホン酸でいいの?と、思う人があるかもしれないがよくない。R−が必要である。疎水基というのは長くなければならない。だから、ただのベンゼンスルホン酸ではなくてRが長くついている。
 アルキルベンゼンスルホン酸を略してABS洗剤と呼んでいる。ただのベンゼンスルホン酸だと、BSになってしまう。メチル基などのずっと長いモノを「アルキル」という。長い疎水基がないと困るので名前にアルキルをつけて、アルキルベンゼンスルホン酸という。セッケンと洗剤との違いについて述べる。
 セッケンというのはカルボン酸と水酸化ナトリウムの塩なので弱塩基性である。
 人間の体液、血液のPHは7.4くらいの弱アルカリで、肌のPHは5.6くらいの弱酸性である。つまり、弱アルカリのセッケンで服を洗うと傷む。アルカリだと加水分解を起こして繊維を壊すからだ。
 硬水とは、カルシウムイオン(Ca2+)を多く含む水のことである。希にマグネシウムイオン(Mg2+)も含む。
 外国から舟で来なければならなかった昔、アメリカやヨーロッパから来た船員達は「日本の水はうまい!」といっていた。
 なぜか?
 ヨーロッパの河はとても長い。すると、途中で金属などを河の水が多量に含み硬水となる。そのため飲んでもぜんぜんおいしくない。日本の河は世界的に見ると圧倒的に短い。それが幸いして非常に少量しかCa2+やMg2+を含まない軟水となって飲んだときにおいしく感じる。
 カルシウムイオンをたくさん含んでいると、セッケンは沈殿して洗浄作用がなくなってしまう。それに対して合成洗剤は沈殿しない。だから、硬水でも洗濯できる。


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