液体と溶液


 

1.溶解度

 → 水100gに溶け得る溶質のグラム数

 参考書や教科書には「溶媒100g」とか書いてあるが「溶媒」とは溶かすものの事であり、普通は溶かすものというと水である。
 溶解度には単位はない!
 グラム数が溶解度になる。つまり、溶解度40といわれたら100gの水に40gまで溶けるということである。

 ・溶解度曲線

 

 溶解度曲線とか偉そうな名前が付いているが、所詮はグラフである。横軸tは温度で縦軸は溶解度である。
 気体の場合とは逆に、固体は温度が高くなると溶けやすくなる。
 溶解度の上昇の仕方が非常に鈍い物質があり、その代表例として塩化ナトリウムがある。
 塩化ナトリウムは温度が高くても低くてもあまり変わらず水によく溶ける。その証拠に冬場、海水温が低くても塩が海底に沈殿すると言うことはない。例えば、塩化カリウムを高い温度で限界まで溶かしてから急激に冷やすと一気に塩化カリウムの固体がその温度では溶けきれずに出てくる。このことを再結晶という。
 再結晶だけでは実践では使えないので再結晶法として覚えておく!
 これは分離法の一種である。
 例えば、塩化カリウムは白色の結晶、塩化ナトリウムも白色の結晶でこの2つが混ざってしまった。どうしよう・・・。
 顕微鏡とピンセットで目で見て選別するという事はできない。このようなわけで分離する。
 例えば、高い温度で溶かしておいてから冷やすと塩化カリウムは析出するが塩化ナトリウムは全然析出しない。勿論、一回で塩化ナトリウムと塩化カリウムをきれいに分離することはできないが何度も繰り返すときれいに分離することができる。

 ☆ 再結晶法→ 温度による溶解度変化の差を利用。

 この「差を利用」とは、つまり差がなくてはだめである。例えば、冷やして両方とも析出してしまうと、いうのは分離できない。溶解度曲線のグラフのように溶解度曲線の傾きに差があるとき、それを利用して分離することができる。

ex)

 CuSO4の溶解度
 60℃→40、30℃→25
 60℃のCuSO4飽和水溶液40.0gを30℃に冷却したとき、CuSO4・5H2Oの結晶は何グラム生成するか?  

 <解説>
 

 ☆ CuSO4とH2Oとを分ける
 一度に考えるから分からなくなるのであって、簡単に考えればいいのである。気体でもしかり、混合気体で分けている。
 では、この問題でもそのようにして解いていこう!
 硫酸銅は硫酸銅、水は水というようにまず、ハッキリ分ける。結局は『常に分けるという意識があって問題が解けるのだ』ということを実感しておく。さて、ソロソロ問題を解いていく。
 硫酸銅の結晶は5つ結晶水がついているブルーの結晶で式量は250である。

CuSO4・5H2O = 250(式量)

内訳は硫酸銅の式量が160、水の分子量が18で、それが5つあるから90の合計250というかなり大きな数である。

 結晶水を持つ物質の溶解度
 → 無水物としての値

 この問題は上記のの条件に適合し、入試でも9割くらいはの内容が提示されている。
実際に、入試問題に当たるときはたいていの場合急いでいるので、当たり前と捉えなくてはならない。
 溶解度の問題はメインディッシュには絶対にならない!
 メインディッシュは気体の問題や平行の問題と相場が決まっている。溶解度40といったら結晶水を含まないで、100g中の水に40g溶けると言うことである。分ける。とにかく分ける!  

CuSO4 40 × 40/140 x × 160/250 ←30℃の
H2O 40 × 100/140 x × 90/250 ←飽和水溶液

 まず、ここを確認する!
 足せば40g。なぜなら、実際には飽和水溶液は40gあるからだ。そして、水100に対して硫酸銅40この理由は溶解度40だからである。この2つを確認してほしい。そうすると、40 × ○ / 140がきれいになる。このStartingがとても大事である。
 水100に対し、硫酸銅40ということは絶対に140である。140のうちの10040硫酸銅というノリなので上記のように分ければよい。
 それで溶けきれずに結晶ができてしまう。枠の中のマイナスは当然であるが、今は引くのだ、と機械的にやればよい。だが、30℃に冷やした溶液について成り立つのだから「溶解度は30℃において25」を使いたい!溶解度というのは溶液について成り立つのだから、結晶ができるとジャマなのである。溶液ができたら早急に取り去ってしまわないと使えない!このような訳で、結晶が出てきたら早く取り除く!
 この結晶とは、実際には五水和物の結晶ができるのだが、実際にはそのうちの160硫酸銅で残り、90なのである。従って、確かに合計してxgの結晶が出てきたのだが、出てきた結晶には硫酸銅16090の両方が入っているのでしっかりと分けていく。このように引き算をして残ったものが何かと言うことを考える。上記の硫酸銅と水は30℃の飽和水溶液である。
 つまり、100に対して硫酸銅25の割合のはずである。これを見抜けば、まず溶解度の問題で引っかかることはまずない。

25:100 = 1:4だから

x × 11/5 = 40 × 3/7
∴ x = 600/77
≒ 8 - 0.2 = 7.8(g)

77の8倍で616で16はみ出してしまった。77の2倍が154だから、0.2倍(=15.4)の数を16として引いてだいたい7.8とする。

2.濃度

まずは、軽く考えてみよう!

(1)重量%

 これはいわゆる重量100分率である。気楽に考えてほしい!
 濃度といえば、化学の世界では普通モル濃度である、というのは常識。ただし、世間一般ではモル濃度は使わない。例えば、魚屋さんが魚市場で『おい、この海水の濃度は何mol/lだ?』とは言わない。このように、普通は%を使う。
 我々はかつて小学校で”食塩25g水100gに溶かしました。濃度は何%か?”といった問題を解いてきた。

食塩 25g
100g

 この濃度を25%と捉えては困る!パッと見て20%と答えられれば問題はない。
 これは、モルよりも一生懸命取り組んでも仕方がない!
 具体的には以下の通りである。
 (25 / 25 + 100 ) × 100 = 20(%)
 分母は100ではなく、125。つまり、溶液全体が分母である。だから、25/125として計算しなくてはならない。

(2) (体積)モル濃度

 体積に()がついている。これは、popularな事を示している。普通にモル濃度といったら、(体積)モル濃度として考えられればOKである!

☆(mol/l) popular

 結局は、「1リットルあたり何モルか?」ということである。

(3) 重量モル濃度

 化学を初めて学ぶ方は、単位を想像できるだろうか?勿論、想像できるはずである。

(mol/Kg) ← 溶媒1Kgあたり

 重量モル濃度であるので、mol/Kgと、名前から想像することができる。このKgは溶媒のみ、つまり食塩水ならば水だけである。その単位は計算の時だけ注意すればよい。重量モル濃度は非常にマイナーである。下記に述べる凝固点降下と沸点上昇の時にしか使わない。

凝固点降下
のみ
沸点上昇

 理由は濃度としてはmol/lをすべてにおいて使いたい。しかし、凝固点降下や沸点上昇では温度が変わる。沸点が上がったり凝固点が下がったりなどの温度が変わると体積が変わる。つまり、熱膨張が起こるので濃度が一定しなくなってしまう。使いたいけども使えない。しかし、温度が変わっても重量は変わらないので、この場合は特別に重量モル濃度を使う。

 

3.希薄溶液の性質

 別に気にする事はない、単に濃度が薄い溶液と考えればいいだけのことである。これも性質が3つあるので記す。

(1)凝固点降下

 北極海の海水温は-2℃くらいである。塩などが海水に溶けているので『0℃だ!さあ、凍るぞ!』と、言っても食塩などのジャマ者がいるので0℃でいきなり凍れるわけがない!
 だから、溶液の凝固点は通常よりも下がってしまう!
 それで、どれだけ下がってしまうのか?
 本来の凝固点との温度差をΔt(デルタティ)と表す。Δtは重量モル濃度に比例する。
 濃度が濃くなってしまえば、重量モル濃度と比例しない!つまり、値がズレてしまうのだ。これは、希薄な濃度の範囲だけ比例関係が成立する。だから、『希薄溶液の性質』と強調しておく。
 

Δt ×C ← mol/Kg
モル凝固点降下 (水) K = 1.86

 この比例常数Kがモル凝固点降下である。もちろん、問題で与えられているデータだが、水の場合K = 1.86は覚えておいた方がよい。
 このように凝固点降下は重量モル濃度に比例している。このほかに冷却曲線があるがこれは問題を解きながら解説していく。

(2)蒸気圧降下 → 沸点上昇

 ある程度、化学を学んだ人は蒸気圧降下を知っているだろうか?
 単に、沸点上昇だけ知っていてもダメ!蒸気圧降下から導かなくては意味がないのである。
 ここでは、化学を学んだ経験のない人向けに簡単に解説していく。


 これは、江戸時代に徳川幕府が百姓を統制するために5人ひとまとめに統制した『5人組』に例えられる。5人なら5人分の年貢を納める。そうすると一人怠けていると他の4人ががんばって5人分の年貢を納めなければならない。だから、怠け者がいると他の4人が『働け、働け』と、とムチ打ったりするので幕府としては監視の手間が省けるという非常に合理的かつ非人間的な管理制度であった。この『5人組』と同じ制度なのが、蒸気圧降下である。
 上記の青丸水分子赤丸溶質分子(=怠け者の百姓に例えられる)である。
 水ならば100℃で沸騰する。これは蒸気圧が100℃で1気圧に達するからである。ところが、赤丸分の年貢がない。例えば、砂糖などは蒸発しない。従って、赤丸分がないという事は、100℃で蒸気圧が1気圧になる筈なのだが、実際には1気圧よりも低くなる。
 沸騰するためには水分子がもっとがんばらなければならない!つまり、100℃よりも温度を上げなくてはならない。赤丸の分の蒸気圧がないので、全体の蒸気圧が低くなってしまう。だから、沸騰する蒸気圧を1気圧にするためにはもっと温度を上げなくてはならない。従って沸点上昇が起こる。
 これは単に沸点上昇だけでは困る!『蒸気圧降下』というTecnical wordを同時に導かなくては実際には使えないだろう。
 蒸気圧降下の度合いは重量モル濃度に比例する。

Δt ×C ← mol/Kg
モル沸点上昇 (水) K = 0.52

 この比例常数Kをモル沸点上昇という。勿論、問題文で与えられているデータなのだが、水の場合K = 0.52を覚えておく。
 水からベンゼンと、言ったのように溶媒が変わればKの値が変化するのは当然だが、溶媒が氷の時と沸騰した湯の場合であっても同じ水なのにKの値は変化する。何故なら、凝固と沸騰は元来、全く違う現象であるからだ。
 (1)、(2)だけでは心許ないのでより実践的な話題展開を図っていく。
 実際は、『Δt = K × C』で良いのだが、普通に解いていくとCに対応する値の分母が非常に大きい分数になり表しにくい!
 だから、直接代入しやすい式に変形した上で次の式を書いて欲しい!
 ここでは徹底してスピードを追求する。理由は簡単で、凝固点降下ができないと、溶液の問題が解けないだけではなく、有機化学でStartが切れないからだ。
 有機化学ではStarting、例えばベンゼンに有機物を溶かし、凝固点降下からまずは分子量を逆算して、そこからStartする。このように、凝固点降下ができないと有機化学が全くできなくなってしまうので凝固点降下は是が非でも会得しなくてはならない。  

Δt ×

n
× 1000/w

→ 溶媒(g)
粒子数としてのmol数

(NaCl

Na+ + Cl-

1mol
2mol

 wは溶媒の質量である。たいていは200g以下で問題が出題されると思うが、単位はgである。ドラム缶にベンゼンを50kg入れて溶かしましたという実験はないので安心してほしい。普通は、20gとか50gという単位を用いる。理由はある程度濃度を濃くしなければならないからだ!濃度を濃くするためには溶媒を少なくしなければならない。従って、問題の解答としては『ある程度以上の濃度を保つため』と書く。
 一番肝心なところは、nである。nはモル数なのだが、『粒子数としてのモル数』というのが肝心である。ミスをするといえば、この部分くらいなものである。
 粒子数とは、塩化ナトリウム(NaCl)ならば、NaCl→Na+ + Cl-のように電離する。そのため、粒子数としては2倍というように考える。このように、塩化ナトリウムならば上記の公式においてnに2を代入すればよい。  

(3)浸透圧

 浸透圧は公式を学ぶと簡単になるのだが、問題が複雑になってくると訳が分からなくなってくる不思議なモノである。
 浸透圧がどちらに働くか、という力の向きが分からなくては困る。だから、簡単なモノに置き換えて考える一番大事な部分の解説をする。これを『クラゲの理論』という。
 クラゲというのは読者の方もご存じのとおり、海に住んでいるのだが、海水の塩分濃度は平均3.5%である。クラゲの皮膚はTecnical wordで半透膜でできている。半透膜は小さい分子は通すが大きい分子は通さない!ここでは、水は通すが、他のモノは通さないと考えればよい。実は、クラゲの体液も3.5%の塩分濃度と同じ浸透圧なのである。このように、浸透圧が体の内外で釣り合っているから元気に海で泳ぐことができる。
 ある日、クラゲが何を思ってか自分の住んでいる海を出てヨルダンにある死海に行ったとする。死海は塩分が非常に濃いので魚をはじめとした生物が住めないため、この名前が付いた。死海の水はほぼ飽和溶液の状態なので塩分濃度は約30%。このような処へクラゲが出かけていくと、体液が皮膚を通ってシワシワの干物のような状態になってしまう。このような例を挙げてみたがクラゲが死海へと行くのはイマイチ現実味がない。多少現実味のある例を考えてみる。
 クラゲが河を遡って行ったとしよう。河の水には塩分がないので今度は、水が皮膚を通ってどんどん体内に入ってブクブクに膨れあがってしまう。

溶媒(水)は半透膜を通って濃度の高い方へと移動する

 これは相対的に濃度の高い方へと移動する。だからクラゲが干涸らびたり膨れあがったりする。
 本当のことを言うと濃度が違った場合、同じ濃さになろうとする。しかし、半透膜は水しか通れないので上記ののような事が起こる。
公式を確認しよう!

P CRT
濃度
粒子数としてのモル数 (mol/l)

 浸透圧をπで表す人もいるが、ここではアクマでも圧( = Presure)なのでPで表す!
 Cは濃度とよく認識されているが、本当は濃度である。浸透圧は濃度に差がなければ浸透という現象は起こらない。
 単位はmol/lが馴染みがあるが、このmolに少し注意を払ってほしい!体積モル濃度であるのだが、希薄溶液の性質とはここで終始一致している。モル数と言ったらすべて粒子数としてのモル数。つまり、塩化ナトリウム(NaCl)ならば2倍カウントしなくてはならない。

※ 気体の状態方程式と同値

PV=

nRT

n/V
RT

C(mol/l)

 つまり、PV=nRTは上記のように変形すればよい!
nはモル、Vはリットルだからn/Vは(mol/l)ということである。
 実際に計算するときは、Cではジャマくさいので状態方程式に代入してやる方が値を代入しやすい!


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